診療報酬

透析患者の将来と診療報酬の変化

 傷病別患者数の調査結果から内分泌、栄養及び代謝疾患が6番目の患者数となっておりますが、代表的な疾患が糖尿病です。

 厚生労働省の調査結果(2016年)から糖尿病の疑われる成人は、約1,000万人(2012年調査より50万人増)と推計され、加えて、発症に至らない糖尿病予備群は約1,000万人(2012年調査より100万人減少)であり、合計すると約2,000万人が糖尿病となり得ることが報告されております。

 糖尿病は、種々の疾患の原疾患されておりますが、透析の導入患者の原疾患の第1位は糖尿病性腎症(43.7%)と報告されており、今後も糖尿病患者の増加に伴って透析患者の増加が予想されます。

 透析治療を受けている患者数は、324,986人(2015年)であり、前年度より4,538人増加しております。透析患者数の多い都道府県は、(1)東京都(30,805人)、(2)大阪府(23,199人)、(3)神奈川県(20,454人)、(4)愛知県(17,826人)、(5)埼玉県(17,382人)の順であり、これら上位5都府県で109,666人(約34%)を占めていることとなり、地域的な局在が確認されます。すなわち、他の道府県で透析治療法を実施している病院・診療所では、その地域の透析患者数などの分布を把握しておく必要があります。

 また、本年診療報酬が改定されましたが、透析関係でも慢性維持透析1で診療報酬が引き下げられるなど、かなりの変更があり、血液透析を実施している病院・診療所では影響が出て来るものと推定されています。ちなみに、透析の治療形態は、血液透析(79.5%)、血液透析濾過(17.0%)、在宅血液透析(0.2%)となっています。なお、新設された項目もありますので、しっかりと把握するとともに、病院・診療所として透析患者となる前の糖尿病の予防や治療も合わせて実施してくことが大切となります。

項目 点数 変化 内容
時間外・休日加算 380 △80点 働きながら透析を受ける患者の社会復帰を支えてきた夜間透析の継続を念頭に改定
長時間加算 150/回 新設 6時間以上の人工腎臓を行った場合
①心不全兆候を認める、または血行動態の不安点な患者
②適切な除水、適切な降圧薬管理、適切な塩分摂取管理を行っても高血圧状態が持続する患者
③高リン血症が持続する患者
慢性維持透析を行った場合1 4時間未満 1,980 ▲30 ①透析用監視装置台数26台未満
②透析用監視装置台数に対するJ038人工腎臓を算定した患者数が3.5未満
4時間以上
5時間未満
2,140 ▲35
5時間以上 2,275 ▲35
慢性維持透析を行った場合2 4時間未満 1,940 新設 ①透析用監視装置台数26台以上
②透析用監視装置台数に対するJ038人工腎臓を算定した患者数が3.5以上4.0未満
4時間以上5時間未満 2,100
5時間以上 2,230
慢性維持透析を行った場合3 4時間未満 1,900 新設 慢性維持透析を行った場合1又は2のいずれにも該当しないこと
4時間以上
5時間未満
2,055
5時間以上 2,185
慢性維持透析濾過加算 50 新設 慢性維持透析濾過(複雑なもの)とは、いわゆる「オンラインHDF」を指す
導入期加算 導入期
加算1
300   導入期1月に限り1日につき加算
導入期
加算2
400 新設 在宅自己腹膜灌流指導管理料を過去1年間で12回以上算定、など
透析液水質確保加算 10 新設 透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること
腎代替療法実績加算 100 新設 導入期加算2の施設基準を全て満たしていること
高度腎機能障害患者指導加算 100   eGFRが 45mL/min/1.73㎡未満の患者
障害者等加算 140/日 △20 著しく人工腎臓が困難な障害者等に対して行った場合
オンライン診療料 70/月 新設 月1回

参照:1.厚生労働省「患者数等調査」(2016年) 2.日本透析医学会、「わが国の慢性透析療法の現況調査」(2015年)

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