先進事例

救急クリニックのその後

 本Webサイトの最初の原稿が救急クリニック(南九州市)の紹介でした。今回は救急クリニックのその後についてご報告させて頂きます(参照:朝日新聞2017年1月3日付)。

 2013年に開院した松岡救急クリニック(鹿児島県南九州市)は、医師4人(看護師、放射線技師などの紹介がなされていますが総数が明記されていません)、4病床、2階建ての総床面積700㎡、CT及びMRIを設置した診療所です。診療科は、救急科(内科・外科・小児科)、脳神経外科、整形外科、循環器内科、リハビリテーション、その他、リュウマチ外来などがあり、救急専門クリニックと呼んで良いのかどうかは不明です。

 診療は平日と土曜日は午前・午後の各3時間半で、日曜・祝日は原則休診となっていますが、24時間365日救急対応していることから、救急クリニックといえるようです。

 約14万人が暮らす南薩医療圏(4市)をカバーし、年700件の救急患者(救急車搬送患者)を受け入れており、課題は、一般診療時に救急車が来ると救急を優先するため、一般診療の患者(平日200人以上来院)が長く待つこととなることだそうで、効率化のため、現在、重症患者を見極める「トリアージ」(看護師が実施)を採用しているようです。

 資料や手術などは4人の医師でローテーションを組んでおり、大きな病院での勤務医時代よりも休みや収入が増えているとのことですが、初期投資の金額や現在までの財務状況は明示されていないので、経営的に良い状況なのかどうか判断は難しいところです。

 また、業務の量や質(救急処置・手術の内容が不明なため、他の病院へ移行するなどの数がどのくらいあるのかが不明)と収支との関係を確認し、このようなスタイルの救急クリニックが今後増えていく可能性があるのかどうかを検討していくことが大切と考えます。


足を骨折した男性の手術状況(松岡救急クリニック)
(参照:朝日新聞2017年1月3日付)

 現在まで、松岡救急クリニックに関連して松永救急クリニック(山口県美祢市、2015年12月開院)、西山救急クリニック(埼玉県加須市2017年6月開院予定)などの救急クリニックが出来てきています。

 救急医療を取り巻く状況は厳しくなって来ており、地域格差も大きいことから、これら過疎地域(高齢化地域)などにおいて救急医療を担うクリニックの開院・増加は患者にとって非常に有益なことです。

 経営状況や救急医療の質も含めて、このような救急クリニックが今後どうなっていくのか、期待も込めて見守って行きたく思っております。


(参照:朝日新聞2017年1月3日付)

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