先進事例

物品搬送ロボットの導入

 病院においても人手不足の解決策として種々のロボットが導入されつつあります。その一つに医薬品や検体などの物品を搬送するロボットがあります(事例/下表)。

年月日 公表内容例
2013年10月1日 パナソニックは薬や検体の搬送ロボット「HOSPI」を開発。
2017年11月29日 名古屋大学病院は豊田自動織機社と共同で開発した薬や検体(血液など)を搬送する自走ロボットを夜間運用。

 表中のパナソニック(株)は、薬や検体などの搬送ロボット「HOSPI®」を開発しており、2019年現在15台が松下記念病院などで稼働しています(参照:以下、ホームページ等より抜粋)。

 「HOSPI®」は、自律走行(地図情報と環境認識に基づく自律走行、レーザーレンジファインダーによる環境認識)、エレベータ自動乗降(エレベータの自動呼び出しと乗り降り)、院内LAN(有線・無線)による運行監視システムなどの機能を持っているようで、走行経路を決めるためのテープや軌道(レール状のもの)がなく、患者などの歩行を妨げることはなく、また、途中で患者や車椅子などに遭遇してもセンサーで認識し、安全に回避するようになっているようです。

肝心な薬や検体の収納庫ですが、IDカードによりスタッフのみが開錠できる状態となっており、そのスペースは、A3サイズの薬剤トレー6段相当(最大20kg)とされています(ホームページ等より抜粋/下図)。

 充電時間が約8時間、連続運転時間が約7時間などの性能が示されていますが、前記の収納スペースが満足のいくサイズなのかどうか、薬について、抗がん剤などの危険性のある薬の搬送も可能なのか、冷蔵が必要な注射剤などの搬送が可能なのか、また検体は血液や尿となるため、感染対策的に別途台数が必要となるのではないか、など導入にあたって確認すべき課題は多々ありそうですが、人手不足の解決策として有用と考えます。実際に稼働していることから、費用対効果や本当に業務負担軽減となるのかどうか、などについて検討してみてはいかがでしょうか。

 天井に書類の搬送システムが設置されている病院が今も見られますが、設置型ではなく、汎用性のある搬送ロボット、医療衛生材料などの物品、寝具類(リネン類など)、給食(食事の配膳・下膳)、医療廃棄物(感染性廃棄物を含む)などの物品を搬送するロボットの開発・導入の可能性は非常に高いので、今後も進展していくものと考えられます。

参照:第6回「病院のみらいWeb」研究会主催2019セミナー「AI&ロボット化は人手不足の解決策(パートナー)となるか?~現場のAI&ロボット活用のみらい~」(病院のみらいWeb研究会 大谷勇作、2019年8月7日)講演資料より抜粋

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