院内感染対策

新型インフルエンザ等発生時の中小病院の診療継続計画(BCP)とは?

 大災害や大事故が発生した際には業務を中断しないこと、もしくは中断しても可能な限り短い時間で再開することが求められており、生命に係わる病院は最も事業継続(BCP:Business Continuity Plan)が必要とされています。大災害や大事故ではありませんが、病院内外で感染症が発生した場合にも同様に診療継続計画が必要となります。

 中小病院におけるインフルエンザ等の感染症が発生した場合の診療継続計画についてご紹介致します(公益財団法人 労働科学研究所、「新型インフルエンザ発生時の診療継続計画作りの手引き」2013年8月)。

<小~中規模病院における診療継続計画>

 本診療継続計画は、海外発生期及び地域発生早期までは新型インフルエンザ等の診療を行わない第二次救急医療機関である小~中規模病院(想定200床程度)における例として作成したものです。実際の策定の際には、医療機関の診療業務の特徴及び各地域における行動計画に基づく貴院の役割に応じて修正する必要があります。

想定:
一般内科及び外科等の9診療科を標榜。入院病床数190床。

規模:
常勤医師15名、非常勤医師5名、看護師120名、指定二次救急医療機関、総合健診センター・在宅診療部門あり。

新型インフルエンザ等発生時(海外発生期以降)の方針:
帰国者・接触者外来設置なし、地域感染期には新型インフルエンザ等の外来診療、入院診療を行う

(注)下線部分は各施設で特に書き換えが必要な箇所を想定しました。

全体的な方針:
  • ●当院は救急外来を含めて、発熱患者の受診を時間的にコントロールすることが不可能であり、空間的に発熱患者をその他の患者と分離する方針とする。
  • ●外来入り口で担当者(看護師等トリアージナース)が症状を聞き取り、新型インフルエンザ等の患者か否か判断し、外来診察待合場所で誘導する。
1 外来入り口への掲示内容

地域発生早期以降、外来入り口に受診方法の案内を掲示する。

受信の流れ

2 空間的分離対策の具体案

  • ●地域発生期以降、空間的分離策を行う。基本的には新型インフルエンザ等疑い患者と通常の患者の受診入り口を変更する(4.参照)。
  • ●運用にあたって、流行期には、外来の一部にガラス戸により分離できるエリアを設置する。

空間的分離対策の具体案

3 診察終了後の処方、服薬指導

  • 診察終了後、薬剤師が服薬指導を行う場合は、新型インフルエンザ等患者用の待合場所に出向き、指導する。

4 地域発生期以降の空間的分離対策

(ここに挙げた事例は、実際に新型インフルエンザ等が診療できるように、空間的分離対策として、従来の施設の構造を改築したものです)

  • 発生時には新型インフルエンザ等の患者の受診入り口を下図の矢印のように変更する。
  • 青矢印は通常の入り口、赤矢印は地域発生期以降の受診の入り口と患者動線。
  • ピンクの書き込みは、実際に仕切りを設け、動線を考慮して壁を取り払い、発生時に空間的分離対策が行えるようにした。

地域発生期以降の空間的分離対策

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