院内感染対策

病院での食中毒発生状況と対策とは?

 暑い季節となり、細菌及びウイルスによる食中毒の多い季節、最近では一年中といえるかもしれませんが、発生しております。病院で発生する食中毒を院内感染と認識していることは少ないかと思いますが、病院、介護施設などは高齢者や易感染患者の多くいる場所であることから、食中毒によっても死亡率の高い場所といえます。日々患者に食事を提供している病院においては、食中毒対策をしっかり実施していくことが非常に大切なこととなっています。

 食中毒、すなわち院内感染が発生した場合の影響は、行政的には営業停止(禁止)、刑法上は業務上過失傷害(致死)罪、民法上(PL法なども含む)は損害賠償(食中毒の損害賠償は保険対象/セミナー講演内容より)、社会的には信用の失墜、など非常に大きく、中小病院では経営的にも大きな影響があるものと推察されます。

 その対策としましては、下記のような予防対策、発生時対策、発生後対策が必要となります。

予防対策

  • ①施設・設備の整備・改善(ゾーニング、人・物の動線等を考えた設計・整備)
  • ②運用の適正化(健康管理、手洗いなどの実施、施設・設備に合わせた運用の実施)
  • ③環境の清浄化

発生時及び発生後対策

  • ①患者対応(職員、委託企業者なども含む)
  • ②運用停止
  • ③環境の消毒
  • ④施設・設備の改善
  • ⑤運用の変更
  • ⑥外部対応(損害賠償、謝罪掲載など)

 なお、予防及び発生時を含めた対策を実施するにあたって気をつけることは、感染経路が単純ではないということを周知することです。乾燥後、浮遊するノロウイルスによる二次感染がありましたノロウイルスの例からもそのことが確認できます(下図)。

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 ちなみに、ノロウイルスに消毒用エタノールは効果がないとの情報は、実験方法での対象ウイルスの違い(ノロウイルス以外のウイルスで実験)によるものとされており、再考の余地があることも記載させて頂きます。

 また、院内感染(食中毒)が発生した場合の対応内容やそれに必要とする時間と費用は膨大なものとなり、外部委託してきた給食会社を変更するだけで足れりとする意識は改善する必要があります。

 院内感染対策を実施することによって得られる診療報酬の金額と発生後に係った費用を比較すると、対策をしておけばと必ず思われますので、ぜひ対策を講じられますように。

参照:厚生労働省等の資料より抜粋

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