院内感染対策

FDAが抗菌・殺菌成分19種類を含む石鹸販売を禁止

 米国食品医薬品局(FDA)は、2013年に抗菌・殺菌成分が含まれる製品の規制案を発表し、販売企業に対して長期の安全性と有効性に関する臨床試験などのデータの提出を求めていましたが、2016年9月2日、「通常の石鹸に比べ、これらの成分を含む製品を使った手洗いが細菌やウイルスへの感染予防効果に優れるとの科学的な根拠(エビデンス)がなく、長期的な安全性も検証されていない」などとして、トリクロサンやトリクロカルバンなど19種類の抗菌・殺菌成分(下表)を含む石鹸を1年以内に販売停止する措置を発表しました。販売企業には1年以内に指定の成分が含まれる製品の販売を中止するか、同成分が含まれない製品に切り替えて販売することを求めています。

抗菌・殺菌成分名

 わが国でもこれらの成分を含む「薬用せっけん」などが、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、医薬部外品として国の承認を得て、多数(約800品目)販売されていますが、厚生労働省は、対象成分を含む「薬用せっけん」を1年以内に代替製品に切り替えるよう促す通知を、都道府県を通じて製造販売会社に出しました。なお、対象成分を含む「薬用せっけん」での健康被害の報告は現在までないとのことです(厚生労働省)。

 日本石鹼洗剤工業会などは9月26日、対象成分を含む「薬用せっけん」の切り替えに取り組むよう会員会社に要請しました。同会は「有効性や安全性に問題はないと考えているが、国際的な状況や消費者の安心を考慮し、大局的に判断した」としています。対象商品の製造販売会社は、切り替えを前向きに検討しているといっており、厚生労働省はこうした業界の取り組みを促すため、製造販売会社に対し1年以内に切り替えるための承認申請を求め、迅速に審査するとのことです。

 国の承認を得た成分・製品であるにも係らず科学的な根拠が疑われる状況は、医薬品、消毒薬等を扱う医療関係者にとっても不安を抱く結果となってしまいました。使用にあたっては、病院個々、医療関係者(専門家)等の適切な判断が求められることとなります。なお、横浜の事件との関係から、医薬品・消毒薬等のしっかりとした保管・管理も求められております。

お気軽にお問い合わせください。お問い合わせはこちらから。