院内感染対策

日本の住宅は寒すぎる 健康への悪影響(感染症も含む)

桜の開花が報告され、暖かくなって来て、年末年始に急増していたインフルエンザウイルスによる感染症やなかなかしぶとい新型コロナウイルスによる感染症も現在は減少しつつあるようです。しかし、普通の風邪やノロウイルスなどによる食中毒などの感染症の発生も未だ報告されていることから、感染症については、今後も油断できない状況と考えます。また、スギによる花粉症など(黄砂など)もあり、窓を開けられない、洗濯物を干す際に注意が必要、さらにはマスクを外せない、などの状況も続いています。

今回は、直接的な院内感染対策とは言えませんが、寒暖差が気になる季節の変わり目ということもあり、室温が健康へ与える悪影響(感染を含む)について紹介させて頂きます。

室温と健康との関係については、WHO(World Health Organization:世界保健機構)が「住宅と健康ガイドライン」(2018年11月)を発表しています。すなわち、寒さが呼吸器系や心血管疾患の罹患・死亡リスクを上げることを報告しており、「冬季の室内温度は18℃以上(子供と高齢者はさらに暖かく;患者も同様かと思います)」とするように強く勧告しています。

実際、国土交通省の調査(2014~2019年)では、日本の住宅の冬季温度(昼夜平均)は、居間で16.7℃であり(全国住居の60%以上)、脱衣所では約90%が基準以下の温度であったと報告しています。

日本の冬の死因は、血圧と関係する心筋梗塞や脳卒中が半数を占めていますが、最も寒いはずの北海道では冬季死亡増加率が最も低いということは注目に値する結果といえます(下図:AERAdot2022年12月23日記事)。その要因としては、断熱住宅の普及率が関係しているとされています。すなわち、住宅での断熱材普及率が全国では約24%であるのに対して、北海道では80%を超えており、室温が21℃に保たれていることによる違いではないかと報告されています。ただし、当然のことですが、温度だけでなく、湿度の確保・管理も大切な要因となります。

北海道では、冬でも居間でTシャツ姿、アイスを食べる話が報道されたりしています。今後新築される際には、夏も含めて、北海道仕様の住宅(施設)が見直されても良いのではと考えます(冷房効率も良い可能性があります;関連する情報は未確認)。

悪影響の内容として、18℃未満(床の温度が16℃未満)の住居では、高血圧の発症率が6.7倍となり、死亡リスクが高くなるとの前記の報告の他、室温が低いと計算処理などの能率も低下する、とされていますが、室温が高い部屋に住んでいる人の脳神経が若くなったこと(室温15℃+1℃で2歳、+10℃で10歳若くなること)も報告されています。免疫力(特に鼻などの機能)が低下し風邪(感染症)をひきやすくなることや認知症発症率にも影響するとの報告もされています。

一度各室内の実際の温度を確認してみては如何でしょうか。意外と寒いことに気づかれると思います。居間、寝室、脱衣所などで温度差のないように気をつけましょう。ただし、光熱費が上昇していますので、室内でも軽く・暖かい服、靴下、ネックウォーマー、スリッパなどの着用、カーテン、窓に隙間テープの設置など、種々の工夫を行い、手洗いなどの感染対策をしつつ、健康に気をつけましょう。

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