病院・診療所の経営

見守り支援システム「眠りSCAN」の活用方法とは?

 ベッド上にいる患者の状態をセンサで知るという技術はこれまでも研究開発されてきましたが、なかなか普及していないというのが現状でした。その原因として、センサから得られる情報が不十分であること、得られた情報を解析し、看護あるいは介護業務へ活かすシステムとなっていなかったこと、さらに費用対効果ということがあげられます。

 今回、ベッド上にいる患者の呼吸数、心拍数、睡眠/覚醒(横になっている、起き上がっている)の状況、離床・在床状況をリアルタイムで、ステーション端末だけでなく、モバイル端末でも画面上で確認できる見守り支援システム「眠りSCAN」をご紹介致します(図1)。

 本システムは、患者の現状、寝ているか、起きているか(覚醒)、起きているけど横になっているか、起き上がっているか、ベッドにいないか、などについて病室へ行かずに把握することが可能となります。特に、看護職員の夜間の業務負担の軽減に役立っています。また、患者の状況の変化によってアラームが鳴るように設定が可能であり、ベッドからの転落など、緊急時の対応も可能となっています。

図1 モニター図

 さらに、患者の睡眠情報を継時的に集積・分析することによって(図2)、その睡眠習慣を確認し、患者ごとの睡眠内容の改善に活かすことができるようになります。その結果、よく眠れるようになり、トイレへ行く回数の軽減や睡眠関係薬の使用の減少など、生活の質を向上させることとなります。また、ナースコールなどの回数も減少し、看護職員の業務負担も軽減できるとされています。

 すなわち、見守り支援システム「眠りSCAN」の活用で入院患者の生活の質が向上することにより、在院日数の減少や病床稼働率の向上、さらに看護職員の業務負担を軽減など労働環境の改善を図ることが可能となり、病院の運用かつ経営的な貢献が可能と考えられます。

 現在、病院の他、介護・福祉施設へも採用されつつありますが(セミナーで事例紹介)、在宅医療・療養の個別の患者への活用も求められています。

 なお、導入にあたっては価格の問題が考えられますが、本製品は、「介護ロボット等導入支援特別事業」(平成27年度)の対象となっており、導入施設に100万円の補助金が支給されました(今後も予算が組まれる予定)。約3セット分に相当するとのことです。システムの内容から考えますと、3ベッドのみということでは導入効果がないと考えられますので、予算を考えて、全床での導入だけでなく、1病棟で導入なども検討してみては如何でしょうか。

図2 睡眠日誌

参照:参照:第5回「病院のみらいWeb」研究会主催2017セミナー「病室改修や介護ロボット補助事業の活用~最新技術と施工導入事例の紹介~」(パラマウントベッド株式会社 藤原康人氏、2017年5月26日)講演資料より抜粋

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