病院・診療所の経営

将来の人口推計と傷病分類別患者数調査の情報から考えられる中小病院のあり方とは?

 わが国の将来の人口は減少することが報告されております(下図)。2040年には約1億1千万人へ減少するものの、65歳以上の高齢者は増加(約35%)すると推計されています。

 経営的な視点で考えますと、人口の減少、すなわち患者数が減少するということは、病院の経営が厳しくなるということでもあり、地域的な違いはあるものの、全体の病院数の減少が加速されるものと推察されます。

 ではどのように対応していったら良いのでしょうか。本年の医療計画や診療報酬の改定の影響は、種々議論されておりますので、ここでは別の視点、傷病分類別患者数(代表傷病分類例)の調査結果から、診療科の将来性(機能強化と連携)について検討してみました(下図)。

 外来及び入院の合計では、消化器系の疾患、循環器系の疾患、筋骨格系及び結合組織の疾患、呼吸器系の疾患、精神及び行動の障害の順で患者が多くなっています。

 外来患者では、消化器系の疾患、循環器系の疾患、筋骨格系及び結合組織の疾患、呼吸器系の疾患の順で多く、入院患者では、精神及び行動の障害、循環器系の疾患、新生物(がん)、神経系の疾患が多くなっています。

 高齢者に多いと考えられる高血圧、心疾患、脳血管疾患などの循環器系疾患、転倒などによる骨折などの筋骨格系及び結合組織の疾患、肺炎などの呼吸器系疾患、認知症などの精神及び行動の障害、アルツハイマー病などの神経系疾患があげられています。これらの疾患を複数かかえる患者がさらに増加しているというのが現状です。すなわち、これらの傷病に対応した診療科の強化が求められています。

 現在(平成29年)、65歳以上の高齢者人口は3,514万人(総人口の27.7%)であり、その中、認知症の高齢者は約460万人、軽度認知障害者(MCI)は約400万人と推計されていますが、軽度認知障害者 (MCI)では適切な運動(ウォーキング、筋力アップ、リハビリ等)で記憶力が改善されると報告されており(米国老人医学会雑誌、等/2018年)、病院や在宅訪問等でのリハビリの実施の有用性が注目されています。

 現在(平成29年)、65歳以上の高齢者人口は3,514万人(総人口の27.7%)であり、その中、認知症の高齢者は約460万人、軽度認知障害者(MCI)は約400万人と推計されていますが、軽度認知障害者 (MCI)では適切な運動(ウォーキング、筋力アップ、リハビリ等)で記憶力が改善されると報告されており(米国老人医学会雑誌、等/2018年)、病院や在宅訪問等でのリハビリの実施の有用性が注目されています。

 当然、内科、外科などの重要な診療科はありますが、高齢化による身体の衰えだけでなく、認知症により発生する問題に対応していくための予防的かつ治療的な医療支援が求められております。

 以上、自院に求められる診療科の選択や運営のあり方を検討する際には、このような視点からの検討 (調査の流れは下図の通り)も有用と考えられます。

参照:1. 国立社会保障・人口問題研究所(2017年推計)  2. 厚生労働省「患者調査」(2014年及び2016年)

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