病院・診療所の経営

AI&ロボット化は人手不足の解決策(パートナー)となるか? その2

〜AI診断&検査技術の進歩がもたらすもの〜

 人工知能(Artificial intelligence:AI)が話題にとなっていますが、その意味するところの説明は人によって微妙に異なり、宣伝的に「AI・・・」としている例も多数みられます。そうは言いつつも、医療でもAIの言葉が使われるようになりました。AIによる診断支援のイメージは、下図のようなものでしょうか(図-1)。2016年頃からAI診断&検査技術の開発が急激に進展してきており、患者の個人情報の取扱いや、なぜそう判断したのかの理由を提示すること、など解決すべき問題も存在しますが、今後も進展して行くものと考えられます。


図-1

AI診断&検査の例として最近公表されているものは、下表の通りとなります(表-1)。精度的にもかなり高い例があり、問診、簡単な総合診断、専門的な診断&検査に区別して利用できるのではないかとされています。医療情報量の収集及び解析処理能力は、医療関係者個人を凌ぐものであり、24時間、365日対応可能という点でも、また故障やメンテナンスは必要かと思いますが、高齢化しない、など有益な部分を大いに利用することで、業務負担の軽減、すなわち人手不足を補う対策の一つとなると考えます。


表-1

 すでに実際に製造・販売が許可されたものもあります(図-2)。

 
図-2

[図-2右] 米国IDx社に対して糖尿病性網膜症の兆候を眼底カメラ画像から判定する技術の開発し、米国食品医薬品局(FDA)は販売許可

 AI診断&検査技術(機器)の導入にあたっては、費用対効果の検討はもちろんのこと、周辺の地域状況(人口の変化、患者数の変化、病院等の変化など)を把握し、新たな視点から病院全体の施設・設備の運営管理、医療業務の運用、経営のあり方について検討し直す必要があります。人手不足対策が、病院のあり方の変化に繋がるものとなっております。

 例としまして、オンライン診療も進められていますが、オンラインでの診断中、インフルエンザの検査が画面上で可能となれば、キットでの検査はなくなり、患者の通院する負担は減り、感染者の拡散を防ぐことができるのでは、というような大きな変化が予想されます(図-3)。


図-3

 患者のため、人手不足対策、業務負担の軽減などの課題への対策として、個々の病院ではなく、都道府県の医師会など大きな組織として新たな医療サービスの提供方法として提案してくことが出来たらと期待するところです。もしかすると、行政の方が先に動くかもしれません。

参照:第6回「病院のみらいWeb」研究会主催2019セミナー「AI&ロボット化は人手不足の解決策(パートナー)となるか?~現場のAI&ロボット活用のみらい~」(病院のみらいWeb研究会 大谷勇作、2019年8月7 日)講演資料より抜粋

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