病院・診療所の経営

AI&ロボットによる外来業務フローの変化とは?

病院における外来業務、すなわち、受付、診断・検査、会計・精算、次回予約、処方せん発行、などの一連の流れの概略は、下図の通りとなります(外来業務フロー概略図/図-1)。

図-1

一般に、新規(紹介あり&なし)の患者さんは、総合受付に行き、受付手続き、診察券を発行してもらい、診察室(ブロック受付)へ行き、問診、診察、検査などを受けることとなります。再度診察室へ戻る場合もありますが、終了後は、次回の予約、薬が必要な場合は処方せんを発行してもらい、会計の所へ行き、窓口あるいは自動精算機で精算(支払い)をし、帰宅する流れとなります。

 再来の患者さんは、自動受付機で受付をし、そのまま診察室(ブロック受付)へ行き、その後は同様の流れとなります。

 このフローの中では、医療情報システム(受付・医事会計、電カル、他の業務システムなど)によって各部署へ患者・医療情報が伝達されることとなります。

 現在、このような医療情報システムが導入され、受付や会計の待ち時間は短縮されつつありますが、診察の待ち時間が長いのは相変わらずのようです。

 このような流れの中にAIやロボットを導入した場合、どのような効果が生まれるか、について検討してみました(表-1)。

表-1

業務 活用 予想される効果
①受付 新患も含めて自動化が可能か? 患者:受付、診察券の発行が携帯電話などで可能となれば時間短縮。
病院:総合受付への人員配置が削減、業務負担が減少。
外国人患者への対応は可能か?
(受付ロボットの設置(ペッパー君?))
患者:自動翻訳機の採用で対応可能。
病院:特別な人員の配置不要。
②診察 AI問診システムの導入が可能か?
(携帯電話で可能か?)
患者:時間短縮。
病院:業務負担の軽減と時間短縮。
AI診断システムの導入は可能か? 病院:初期&総合診断に利用可能。業務負担の軽減と時間短縮が可能。
③検査 AI検査システムの導入は可能か?
(すでに開発・認可)
病院:検査精度の向上&業務負担の軽減と時間短縮。
④会計 窓口、クレジット精算以外の方法が可能か?
(携帯電話などで電子決済)
患者:時間短縮。
病院・時間短縮&クレジット決済費用の削減。

 AI&ロボットなどの技術を導入することによって、病院へ行くのは1日がかりといった患者の負担も軽減され、医療関係者の業務負担も軽減、さらには経費の削減ともなるのではと考えられる検討結果でした。なお、導入による費用対効果の検討は必要となります。

 また、病院内への導入による効果の他、病院外での導入、すなわち予約のオンライン化、オンラインでの診察(AI診断も利用)、オンラインでのインフルエンザ検査(感染拡大の予防対策)、ウエアラブル端末を利用した健康管理システムとの連携、など、医療分野以外で開発された多くの技術も利用・接続していくことによって、医療の流れ全体が効率的かつ有用なものとなり、医師などの医療関係者は、患者や家族ともより密接に寄り添っていけるようになる、すなわち、地域医療連携&包括ケアのあり方がより現実的なものとなって行くのではないかと考えられます。

参照:第6回「病院のみらいWeb」研究会主催2019セミナー「AI&ロボット化は人手不足の解決策(パートナー)となるか?~現場のAI&ロボット活用のみらい~」(病院のみらいWeb研究会 大谷勇作、2019年8月7日)講演資料より抜粋

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