病院・診療所の経営

診療所の新たな展開 その後 -駅改札内診療所(クリニック)について-

新型コロナウイルス感染症が第7及び8波となっていた2022年4月にJR西国分寺駅(改札内)ホーム上に開設された初めての診療所(医療法人社団創青会あおいクリニック)を新たな展開事例として紹介致しました(詳細は本「病院のみらいWeb」参照;2022年12月22日)。

その後も、JR東日本グループは、「Beyond Stations構想」の一環として、生活動線上にある「駅」においてオンラインも活用した「スマート健康ステーション」を展開しており、阿佐ヶ谷駅、東京駅、上野駅の他、2024年7月には仙台駅に開設しています。JR東京総合病院との連携も図っているとのことです。

ここでは、これらの事例の中で、これまで興味深く見守って来ました「駅」の「改札内」にある診療所について再確認致しましたので紹介致します。

前記の中、JR東日本の駅改札内にある診療所の概要は、表に示した通りです。

項目 西国分寺駅 上野駅 仙台駅
名称 あおいクリニック 東京ビジネスクリニック 仙台駅スマートクリニック
場所(改札内) ホーム エキュート上野内 2階在来線改札内
面積 約10坪 約30坪 約10坪
診療科目 対面 内科 内科・外科・皮膚科・小児科・健康診断・美容医療 内科
オンライン 皮膚科・耳鼻科・婦人科 内科・外科・皮膚科・小児科 内科
診療時間 平日 8:00~12:00
13:00~21:00
9:00~21:00
年中無休
9:00~13:00
14:00~18:00
土日・祝日 9:00~13:00
14:00~18:00
9:00~13:00
開設 2022年4月 2024年1月 2024年7月
運営 医療法人社団創青会 医療法人社団クリノヴエイション 医療法人めざきクリニック
その他   アイン(調剤)薬局併設 エスシー(調剤)薬局併設
  多機能ロッカー「マルチエキューブ」で薬受取り可能 多機能ロッカー「マルチエキューブ」で薬受取り可能

改札内とはいっても、西国分寺駅と上野及び仙台駅では、設置場所、すなわち周辺環境がまったく異なっています。上野及び仙台駅では、クリニックの周辺に多数の店舗があり、薬局も併設しています。仙台駅は、大きい駅ではあるものの、地方駅であるためか、診療時間が早く終了するなどの条件となっています。

これらの条件を認識した上で、改札内に診療所を開設する意味について再検討してみました。

上野及び仙台駅は、利用者数も多いですが、駅周辺にも病院、クリニックや薬局もあるものと考えると患者需要がどの程度あるのか、駅の利便性を考えての設置だとするとオンライン診療をするということはどういう意味を持っているのか(駅改札内にあるクリニックが実施する意味は何か)、西国分寺及び上野駅では診療時間(対面)が21時となっているが小児科など調剤に時間を要する診療科もあることから診療後に発行される処方せんに対応する併設の薬局では運営時間に問題はないか(ロッカーでの受取りで対応可能かもしれないが)、上野ではさらに年中無休となっているが「医師の働き方改革 2024年問題」が言われている中で医師の数や対応は可能なのか、などが気になるところです。

駅周辺で急病となった際には非常にありがたいことですが、上野駅での紹介の動画を見る限り、広すぎて、矢印などのサインはないようですので、見つけること自体大変なような気がします。ないとしたら、JR東日本としては早速のサイン(案内)設置が望まれるところです(ネット検索が可能と思いますが、急病時は調べる余裕がありませんので)。

人口減少、過疎化、交通網の削減・減少などが進む中、駅自体が存在し得るのは大都市圏のみとなりかねない状況の中で、駅中(改札内)に存在するクリニックの果たす役割は何か、西国分寺駅のホーム上にあるクリニックの紹介時に検討・記載した問題点や可能性について、期待を持ちつつ、今後も見守って行きたいと考えています。

【参照】:
1.JP東日本ニュース(2023年11月7日)などの資料より抜粋
2.その他、新聞・ネット情報などより抜粋

お気軽にお問い合わせください。お問い合わせはこちらから。