病院・診療所の経営
2026.1.23 Fri
医療機関の経営状況とは?経営支援の一手法とは?
新型コロナウイルス感染症の流行以降、病院・診療所の経営状況は、コロナ補助金の減少、人件費及び材料費などの高騰、などにより悪化の一途を辿り、倒産・休廃業する所が増加しつつあると報告されています。
しかし、病院(7,998施設/2025年10月現在)と診療所(105,657施設/無床;100,509施設、有床;5,148施設)の経営状況を一律に扱って良いものでしょうか?
今回、公表されている種々の資料から病院・診療所の経営状況を確認するとともに、根本的な解決策とはいえませんが、何らかの支援策となるのではないかと考えられた方法についても紹介します。
先ず、公益社団法人日本医師会より報告された「令和7年病院の緊急経営調査結果-令和5年度、6年度実態報告」(令和7年10月22日)の情報は以下の通りです(下図)。
一般病院はいずれも医業利益率がマイナスとなっており、公立病院では医業費用が医業利益を大きく上回っていることが確認されます。病床規模別でも医業利益率はほぼ全体的にマイナスとなっています。
医業利益の赤字割合も、国立で92.5%、公立で96.6%、医療法人で63.9%となり、極めて厳しい経営状況にあるといえます。
なお、経常利益も療養型病院を除き、マイナス傾向となっています。

一方、一般診療所では一般病院とは異なり、一般診療所の中の医療法人で医療利益率(全体)が前年度の6.7%から3.2%と半減してはいるものの、プラス傾向を維持しています。また、無床の診療所の方が有床の診療所より医療利益率の高いことが確認されます。
医療利益の赤字割合は、前年度の31.3%から45.2%と増加していますが、病院の赤字割合の増加(ほとんどの病院が赤字)と比較するとかなり少ないことが確認されます(下図)。

一般診療所には、医療法人の他に個人のもの(個人立の診療所が圧倒的多い)があり、医療法人の診療所と同様に前年度より減少はしているものの、医療法人よりも医業利益率及び経常利益率ともにプラスとなっています(下図)。なお、個人の診療所では、院長等の報酬が費用に含まれないため損益率(ここでは記載していません)の数値が高くなると報告されています。ちなみに、赤字割合は不明です(現在まで確認できていません)。

以上のことから、医業収益率および経常利益率において、一般病院は赤字、一般診療所は黒字ということが確認されました。一般診療所の中で圧倒的に数の多い個人の診療所の赤字率が不明であったため、診療所全体の経営状況は不明瞭な結果でした。
一般病院、特に急性期の病院が経営上の問題から閉鎖することとなった場合、診療所では対応できない緊急時の対応、専門診療科(外科、産婦人科など)の減少、救急患者の受入れの不可、自然災害時やパンデミック時の対応などの諸問題を解決することが、さらに困難となるのではと懸念されます。
すなわち、病院の経営を改善することが最重要の課題であることが確認されました。
現在、診療報酬の増加が話題となっていますが、人件費や材料費などの高騰、建築費の高騰による病院の建て替えなどの延期・中止に対応できるのかどうか、不透明な状況といえます。
このような現状の中、運営資金のやりくりの方法として、クレジット会社(株式会社クレディセゾン)による医療機関への支払い代行・繰延サービスが提供されています(下図)。
最終的には支払いが発生するものの、支払いの延長によるキャッシュフローの改善を図ろうとする内容のものです。支払い期限が従来の60日から180日へ延長されることでのメリットをどのように活かせるかが大切となります。また、請求書の発行、収納(代金回収、入金確認)、入金振り込み、売掛保証などの業務の代行が含まれているようです。当然、手数料は発生するでしょう。
現在の病院・診療所の厳しい経営状況から、今後同様のサービスの提供が増えて行くものと推察しています。


